| 2007年5月 | ||
5月15日 望月哲也テノール・リサイタル(オペラシティリサイタルホール) オペラシティの主催する、若手演奏家のリサイタルシリーズ「B to C」。 人気が高く、いつも満員の盛況だ。 今回は二期会期待のテノール、望月哲也の登場。 最近、凝った演出のリサイタルが多かったが、今回は演出なしのオーソドックスなステージだった。 とはいえプログラムは内容充実。「バッハからコンテンポラリーへ」 というシリーズのモットー通り、バッハのカンタータに始まり、ベートーヴェン、シュトラウス、ヘンツェ、ブリテンと並んだ。 現在、ウィーンに留学しているということもあってか、ドイツものが中心だった。 つい先ごろ亡くなった名歌手、エルンスト・ヘフリガーに師事していたという。 出だしのバッハは、昨今の古楽器系の演奏傾向を聴きなれた耳にはちょっと歌いすぎと感じられたが、 それ以外の作品では過剰な表情付けは感じられず、安定していると同時に、ふくらみがあり、 ドイツ語も美しく、将来性を感じさせた。 声そのものもリリックで美し、無理がない。 音楽の余韻を感じさせるシュトラウスのリートも魅力的だったが、 音響が勝負のヘンツェ作品も、「声」の幅広さを押し出し、また巧みなコントロールで、聴き手を飽きさせない。 これからますます楽しみなひとである。 |
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5月25、26日 藤原歌劇団公演「リゴレット」(東京文化会館) 久しぶりの「リゴレット」、藤原歌劇団の公演で聴く。 今回楽しみだったのは、指揮のリッカルド・フリッツァ。2004年にジェノヴァで聴いていらい、大ファンなのです。 躍動感あふれる俊敏系の指揮者。「トスカニーニの後継者」と言っていたひともいました・・・ そのフリッツァ、躍動感、推進力、テンポ感は健在。軽めの音楽づくりで、強弱を起伏豊かにつけながら飛ばす。 いささか飛ばしすぎて、初日はちょっとオケがついていけない箇所があった。2日目は大分慣れたようだったが・・・。 一般的には、今回の最大の目玉は(ダブルキャストの)歌手。 とくに主役のリゴレットは、スカラ座でも活躍するガザーレ(25日)と、藤原の、いや日本の誇るヴェルディ・バリトン、 堀内康雄(26日)の競演だった。 ガザーレは美声で、声量もあり、芝居っ気たっぷりだったが、 複雑な性格を持つ主役の性格や感情の表現を細やかにしていく点では、堀内康雄のほうが上。 ドラマの世界に引き込まれた。本当に素晴らしい歌手である。 娘役のジルダは、藤原の誇るコロラトゥーラ系のプリマ2人、高橋薫子(25日)と佐藤美枝子(26日)。 高橋は前半ちょっと不安定でひやっとさせたが(高い技術をもつこの人には珍しい)、 アリア「慕わしき名」あたりから調子を取り戻し、澄んだ、でも芯のある声で聴かせた。 一方佐藤美枝子は、私が彼女をきいたなかで一番の歌唱だったと思う。 時々不安定な時があるのだが、今回は危なげなく、堀内康雄同様、表現の幅の豊かさで酔わせた。 幕切れの息絶える場面の絶品だったこと!指揮ともよくあい、宙に吸い込まれるように事切れる息遣いを表した、 奇跡的な瞬間だったと思う。 マントヴァ公を歌った、イタリアと日本の若手歌手は、見栄えはいいけれど、いずれもまだこれから、という感じでした。 演出はいまどき珍しいくらい正統的で、美しい舞台。だからといって冗漫なわけではなく、かなり動的で音楽との齟齬はない。 装置が舞台より小さかったのはちょっと問題でしたが・・・ こういう演出だと、安心して「声」、「音楽」に浸ることができる。 久しぶりで、目をつぶって酔いしれる、私的にはオペラの醍醐味のひとつ、と思っている楽しみ方をしました。はい。 |
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