番外編!2003ライプツィヒ・バッハフェスティバル        

バッハ没後250年の2000年以来、毎年訪れているライプツィヒ・バッハフェスティバル。
今年も行きました!
5月23日から6月1日まで、2つの週末をはさんで、町中がフェスティバル一色に。
年々賑わいを増しています。
以下に、聴いたコンサートの主なものをご紹介します。


5月23日 オープニングコンサート(聖トーマス教会)

2003年バッハフェスティバルは、例年通り聖トーマス教会で、聖トーマス合唱団の出演するコンサートではじまった。
コンサート前にはえんえんとセレモニーがあり、
今年からライプツィヒ市が出し始めた「バッハ・メダル」の授与式なども。
ちなみに第1回の受賞者は、チェンバロ・指揮のグスタフ・レオンハルト。
75歳になる巨匠だが、ユーモアたっぷりのスピーチで会場を沸かせていた。

今回の指揮者は、恒例のトーマス合唱団指揮者(トーマスカントール)のビラーが病気のため、ゴットホルト・シュヴァルツ、
管弦楽はベルリン古楽アカデミー。
プログラムは、今回のフェスティバルが「バッハとライプツィヒ」というテーマを掲げたのにちなみ、
バッハの前に、ライプツィヒのトーマス教会で活躍していたシェレ、クーナウ、そしてバッハの声楽曲という構成。
手堅い指揮のもと、祝祭的な演奏で好感が持てた。

5月24日 声楽コンサート(聖トーマス教会)

トン・コープマンとアムステルダム・バロックアンサンブル・合唱団の声楽コンサートで、
今回楽しみにしていたコンサートのひとつ。
プログラムは、クーナウとバッハのマニフィカト、そしてバッハのカンタータ第10番。
すべてマリアへの賛歌ということで、統一されていた。

やはりよかった。とくにマニフィカト2曲。
このような祝祭的で華麗な作品は、躍動感あふれるコープマンによく合うのだ。
それとも私の好みということかな?
でも合唱も、アンサンブルもうまい。起伏に富んでいてダイナミックで、
まさに「音を楽しむ」音楽だなあ、という気がしてしまう。


5月25日 声楽コンサート(聖トーマス教会)

「バッハ・メダル」受章者のレオンハルトが指揮をとった、声楽コンサート。
指揮者としても大ベテランのレオンハルトだが、なんと指揮者としてバッハ・フェスティバルに登場するのは初めてというのには驚いた。
これも楽しみだったコンサート。
合唱はテルツ少年合唱団、オーケストラはフライブルク・バロックオーケストラ。
プログラムは、バッハがライプツィヒに就任した直後に作ったカンタータで統一。

前日のコープマンとは対照的な、きりりと締まった演奏に魅了される。
巧者!といいたくなる演奏だった。


5月25日 オルガンツアー(ポムセン、シュテルムタール)

バッハフェスティバル恒例の、オルガンツアー。
ライプツィヒ近郊に残っている、古いオルガンを聴きに行くのだ。
今日の目的地は、13世紀の古い教会にある、16世紀にさかのぼるオルガンのあるポムセンと、
小さな教会にヒルデブラントという有名な製作者の作ったオルガンがある、シュテルムタール。

ポムセンは、教会自体にとても風情?があった。
何世紀もかけて作られているのをたどることができた。
オルガンはかわいらしい。

楽器としては、シュテルムタールのものが素晴らしかった。
ヒルデブラントは、やはり有名なジルバーマンの弟子ということで、
ジルバーマンの楽器とよく似た、シャープな、聴き応えのある音が圧巻だった。


ちょっと寄り道、ハンブルク・オペラ「仮面舞踏会」(5月27日)

さて、今回のフェスティバル訪問は、いつものごとく「バッハへの旅」「続バッハへの旅」に組み込まれている。
後半の日程は、「続バッハへの旅」で聴いたのだが、
「続バッハへの旅」では、北ドイツを訪問する。
そのついでに、ハンブルクの一夜、オペラハウスに足を運んだ。
演目はヴェルディ「仮面舞踏会」。

ハンブルクのオペラハウスは、ドイツではかなり有名な劇場。
だがハコ(劇場の建物)は質素。音響もかなりデッドで、ハンディーあり、と思ったのだが。

意外とよかった。
一番よかったのが演出。気が利いていた。
演技、とくにパントマイム的演技を取り入れ、劇の状況をよく説明していたのだ。
これで、ドラマが分かりやすくなった。
舞台は質素だが、現代的というのでもなく、使い方がよく工夫されていた。
歌手では、アメーリア役のミシェル・クライダーがずば抜けていた。
力強く輝かしいドラマティツク・ソプラノで、「アイーダ」のタイトルロールなど似合いそう。
グスターヴォのアファナシェンコも健闘していたが、いかんせん力が違う、という感じでした。


5月29日 声楽コンサート(聖トーマス教会)

フェスティバル後半の聴き初めは、イギリスの演奏家による声楽コンサート。
シュテファン・クレオバリーの指揮、
キングズ・カレッジ合唱団、アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック。
プログラムは、バッハのカンタータ147番に、「お国もの」のヘンデルとパーセル。

なんかいまいちでしたね。とくに合唱。縦の線がきれいでないので、まとまりがなく聴こえてしまった。


5月30日 オルガンツアー(ツァイツ)

今回2度目のオルガン・ツアーは、ツァイツの町の大聖堂のオルガン訪問。
もともと修道院だったという大聖堂は立派だが、オルガンはたいしたことはなかった。
注目されはじめた時はすでにかなり破壊されていて、もとの形が分からないらしい。


5月30日 声楽コンサート(ゲヴァントハウス)

今回唯一の、現代曲の演奏会。
ゲヴァントハウスでゲヴァントハウス管弦楽団を聴く、唯一のコンサートでもある。
指揮はブロムシュテット、合唱は中部ドイツ放送合唱団。

現代作品のひとつのスタイルというか、いろんな試みをやっている作品。
演奏自体はうまいし、飽きないで聴けたが、何しろ現代作品はめったに聴かないので、
私にはあまり批評する資格はない。
聴衆の反応がまっ二つに分かれたのが面白かった。
(途中で出て行くひと多し、また終演後のブラボーも多し!)


5月31日 声楽コンサート(聖トーマス教会)

バッハフェスティバルも終幕近く、大曲のコンサートが登場。
バッハの「ヨハネ受難曲」が、ご当地の聖トーマス合唱団、
ライプツィヒ・バロックオーケストラによって上演された。
指揮は、予定されていたビラーがやはり降板、シュヴァルツに代わる。
ソリストも、ライプツィヒのバッハコンクールで近年入賞した若手をそろえていた。

期待したコンサートだったが、はっきりいってがっかり。
合唱がやはりぜんぜんだめなのだ。技術的にも・・・・
あと、この手の構成のしっかりした大曲にしては、スコアの読み込みがいかにも足りない。
ただ流しているだけという印象になってしまった。
これは指揮者の責任だろう。

うーん、トーマス合唱団、このままでは観光名所になってしまうゾ。


6月1日 ファイナルコンサート(聖トーマス教会)

9日間にわたったバッハフェスティバルも、いよいよフィナーレ。
今回一番楽しみだった、ヘレヴェッヘとコレギウム・ヴォカーレによる「ロ短調ミサ曲」。

やはり期待は間違いではなかった!素晴らしいの一語。
とくに合唱のうまさは筆舌につくしがたい。
技術的なことばかりでなく、とにかく自在なのだ。
やはり合唱出身の、ヘレヴェッヘの指揮の美しいこと!

ソリストも一流ぞろい。
アルトのアンドレアス・ショルはさすがに素質のすばらしさを見せ付けた。
テノールのマーク・パドモアも、端正で印象深かった。

最後の一音が消えたとき、しばらく拍手をしたくなかった。
静寂のなかで、味わっていたかった。
至福とはこのこと。
ヘレヴェッヘに、演奏者に感謝したくなったコンサートだった。


さらに番外!ドレスデン音楽祭

6月2日 オルガンコンサート(ドレスデン大聖堂)

バッハフェスティバルを堪能したあと、ドレスデンに足を延ばして、
トン・コープマンのオルガンコンサートを聴く。
大聖堂にあるジルバーマンの大オルガン、聴くのははじめてでわくわく。

鋭く深い音にまず感激。
コープマンの演奏も、以前のように奔放一方ではなく、
一音一音の味わい、深みが増してきたように思った。

心にしみるコンサートだった。